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エディー・キャッチ

 
増水大歩危、最高!

[歩危ページ]

 ダウンリバーばかりでは、効果的なスキルアップは望めないので、予定がない日はスポットで静水・流水トレーニングに励むようにしている。
 土曜日に四万十川で、ロールやストロークなど基礎的な練習に励んだ。
 そして車中泊して明日も練習しようと、温泉に入って食料の買い出しに行こうとしたとき、ふと携帯電話を見てみると、「小歩危さん」からの着信記録が入っている。入浴の間に電話があったようだ。
 ここで「小歩危さん」とは歩危常連のS隊長のことである。もちろんS隊長の電話番号を「小歩危」と登録しているわけではない。しかし用件はほぼ地獄へのお誘いである。

 電話を掛け直そうかどうしようかと少し迷った。すでに歩危とは正反対の遠方まで来ているのだから、断ろうと思えば断れる。それに「小歩危」以外の用件かもしれない。
 思い切って電話を掛け直してみた。
 「久しぶりに大洲のYさんが小歩危に行きたいと言っているから、一緒にどうですか。みんなで下った方が楽しいと思うし…」
 「今、四万十に来ているんですけど…。分かりました。それでは明日集合時間までに松山に帰ります。」(自分のバカ!)

 翌朝「歩危」の水量を確認した。池田ダム流入量で240トン(漕いでいる時間帯の水量をあとで調べてみると220トン)。ラフトも小歩危をやらない水量である。もしやそれでも小歩危をやるのか!と不安になる。
 小歩危に到着してS隊長いわく、「ドラゴンホールが潰れているから面白くない。大歩危にしましょう!」
 私たちとは何か基準が違うようである。私は最近、200トンの大歩危を経験しているので、大歩危に変更してとても気が楽になった。

 大歩危スタート地点の豊永では、島根・広島組の老若男女13名のグループが遠征に来ていて、私たち松山組4名と、地元1名の計18名でのダウンリバーとなった。

 スタート直後の「豊永の瀬」ではいつもそのパワーの凄さに圧倒される。大きなうねりに艇が翻弄される。大歩危への登竜門といった感じだ。
 「豊永上の瀬」で島根のHさん(女性)が沈脱した。艇が岩に引っ掛かったのか?艇に2箇所ほど凹みができている。
 本人は精神的なダメージもないようで一安心。いつものことなのか?イケ!イケ!の乗りである。

「三段の瀬」
 巨大な横巻き込みの波が立っている。どういうルートを通ればいいのか。みんな下見に余念がない。しかし横波に向かって真っ直ぐ進むルートしかない。横波にひっくり返されてもそれだけの事だ。特に危険性もない。
 最近経験した200トンのときとほぼ同じ状態であったので、私はさほど緊張もしなかったが、前回は沈しなかったのに今回はややルートがそれて、見事、横波にひっくり返されてしまった。ルート取りの甘さを反省!

三段の瀬

増水により、小歩危コースのラフトも大歩危に予定変更。

パドルを頭上に掲げて、巨大な横巻き込みの波に突入!見事な玉砕を披露してくれたS隊長。
「国境の瀬」
 200トンのときと明らかに状況が違う。ホールがでかい。どのルートを検討しても険悪なホールに引っ掛かるのだ。
 どのルートを取ればいいのかかなり悩んだ。
 S隊長は右岸寄りから中央に向けて斜めに漕ぎ進むルートを選択。しかし、そこは確かなルート取りが要求される。ちょっとルートがそれると、巨大なホールが口を開けて待ち構えている。
 S隊長が「豊永の瀬」で沈脱したHさんを従えて瀬の進入口に向かう。ルートを入念に教えている。そしてS隊長が突入!理想どおりのルート取りに思わず感心。
 続くHさん。ルートが左に寄り過ぎだ!これはやばい!と思ったら、見事ホールにジャスト・イン!ホールにグルングルン揉まれて、まさに地獄絵のよう。4,5回転しただろうか。横回りに縦回り、永遠にホールの中で回り続けるのかと思ったら、裏返った艇がホールから吐き出された。ついに脱してしまったようだ。
 後で聞くと、自分は耐えに耐えていたのだが、自然と足が抜け出てスカートが外れてしまったと悔しさ一杯だったようだ。技術が発展途上の人にはそれを補うだけのガッツが必要なんだと、良い勉強をさせてもらった。

 これを見てみんなすっかりビビッてしまうのかと思ったら、意を決したように次々と艇に乗り込み漕ぎ出すではないか。そしてルートなんか関係ないと言わんばかりに次々と真っ直ぐに突き進む。何という潔さ!
 どのルートを取ればいいのか未だに悩んでいる自分が恥ずかしくなった。

 そして、「漕ぎたいルートを思い切って漕げばいいんだ!」という結論を出し、Yさんの後を追って艇に乗り込んだ。すでにYさんは瀬に突入していた。Yさんの姿はもう見えなかったが、Yさんの様子は感じ取れた。水平線から天を指す黄緑色のバウがのぞいていた。南無阿弥陀仏。

 私はS隊長のルートを取った。流れに押されることを想定しながら、しっかり斜めに漕ぎ進んだ。途中バウが食われることなくほぼ理想どおりのルートをたどっていると思った。しかし、艇に乗り込んだ視線では落ち込みの様子がよく分からない。ここぞと思うところでホールに落ち込んだ。
 次の瞬間、視界いっぱいの巨大な白壁に行く手を塞がれ、後ろ宙返りにはじき飛ばされた。何が何やらという状況のなか、捕まったのか!?と思い切ってロールアップしてみると、無事抜け出ていた。

 ホール突破は、いかにスピードを殺さずにホールに突っ込むかがポイントだと思う。しかし、ルートを決めて勢いよく漕ぎ進んでいても、途中予期せず流れにバウが刺さって失速し、動揺も荷担してズタズタの結果になってしまうこともある。この辺りの対応も重要なのかなと思う。

 「国境の瀬は面白かったですね。K石さんもニコニコでビデオ回していましたよ。」と感想を述べたところ、S隊長から心に響くありがたい金言をいただきましたので、ご紹介します。

 「ホールにつかまる!と思ったら、ホールで遊んでやったらいいんだよ。」
【解説】 ホールにつかまりそうな状況に陥ったとき、諦めてそのままホールになすがままにされることを受け入れてしまうのではなく、ホールにバウを刺そうとしたりする能動的な挙動により、案外小さいダメージでホールをやり抜ける可能性が出てくる。
 しっかりとしたフォワードストロークができるようになったら一応、大歩危チャレンジはできると思う。パドルを立てて、ブレードをしっかり水に沈めてモリモリ漕げるようになったら、是非大歩危へ!もちろん、ロールができることが前提です。多少の技量不足はガッツでカバー!

国境の瀬

S隊長。的確なルート取りでデンジャラス・ゾーンを難なくクリアー!

見事、ホールにはまったHさん。このあと、無惨にもホールに飲み込まれていった。
左写真のS隊長の位置から少しルートが左にズレただけで、この違い。
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