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脱臼療養
経過 ('02.01- )
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<事故から1週間>
関節にグラグラ感があり、不安定。歩くと上下振動により関節がグラグラし、関節部が発熱する。あまり動き回るのは良くない。くしゃみをしても関節がグラッとする。
脱臼部の皮膚を触ると感覚が鈍い。
着替えのとき、関節に負荷が掛かると、ズキッと痛む。
仰向けでしか寝ることができず、寝返りも打てない。仰向きでは上腕が下がり関節に負担が掛かる。上腕の下にクッションを置いてあるが、時間とともに関節に痛みが貯っていく感じで、時折目が覚める。上体を起こして痛みを取ってから再び寝る。これを夜中4,5回繰り返す。
関節に負担にならないような手先の運動をするために、握力トレーニング用のゴムボールを買った。このボールを握り潰していると弱っていた筋肉が復活し、手先の動きが良くなった。脱臼した左腕を使わないようにしていたが、これから手先だけでも使うようにすると、不自由さがかなり改善されるだろう。
<事故から2週間(0.5ヶ月)>
日に日にちょっとずつ良くなってきている。肩関節をしっかり動かないようにしておけば手先は自由に使えるので、事務仕事はかなりやりやすくなった。パソコンは右手だけでキーを見ながらパチパチ打っているので大変もどかしい。
着替えの時などアームスリング(腕吊り)を外して腕を動かすと、肩関節がちょっと落ちたり、関節や筋に痛みが走るときがある。関節はまだ緩く、関節回りの組織もまだ傷みが直っていないのだろう。関節部の皮膚を触ると感覚がまだ鈍い。
夜はまだ寝返りが打てず、眠りが浅くなる明け方になると何度か肩が痛くなって目を覚ます。
医者が1ヶ月と言えば半月くらいかなと思っていたら、やはり完治するまでに最低1ヶ月はかかりそうだ。もし、利き手の右側を脱臼していたら、あまりの不自由さに無理にでも動かしてしまうだろうな。不幸中の幸いだ。
人目が気になるのであまり人前に出たくないが、ひも状のアームスリングは目立たないので良い。
<事故から3週間>
脱臼療養は腕を固定して静かにするくらいしかないだろうと思って、これまで医者に掛からなかったが、周りの勧めもあり、治り具合の確認がてらケガをして2週間後になってやっと病院に行く気になった。
そうしたら脱臼以外に「腋窩神経麻痺(えきかしんけいまひ)」を起こしていることが分かった。脱臼部の皮膚の感覚がちょっと鈍いと申し出ると、医師が私の肘を横から手で押さえ、肘鉄の要領でこれを押し返すようにと言われてやってみたところ、筋肉が動かず、力が入らないのだ!これまで真面目に腕を固定してきたので気付かなかったが、腕を上げようとしても上がらないのだ!
大抵は治るとのことだが、回復には2,3か月は掛かるそうで、電気治療に通院する羽目に。
腋窩神経は上腕骨骨頭前方に接して、回旋しながら三角筋に分布する神経で、肩関節脱臼時に損傷を受けやすく、この神経が麻痺していると三角筋を働かせない。(三角筋は、肩の関節をおおう三角形の大きな筋肉で、肩甲骨と鎖骨から起こり上腕骨に付着、上腕を水平に引き上げる運動をつかさどる。)
救急治療では細かく診察してもらえないんだなということが分かった。
肘から手先までは問題なく動かせるのでさほど不便ではないが、三角筋に力が入らないせいで肩関節がしっかり固定されずグラグラ感があるので、引き続きアームスリングで腕を固定する必要がある。
<事故から4週間(1ヶ月)>
神経麻痺のせいで三角筋は相変わらず仮死状態。ちょっとずつ腕の可動範囲を広げるように運動している。三角筋の代わりとなる筋肉をトレーニングすることにより腕もちょっとずつ上げられるようになり、日常生活もさほど支障はなくなった。
今はアームスレンダー(腕吊り)も外して、外見は普通の人となった。
医者が言うには、回復してくるのに2,3か月、元通りに力が出せるのに6か月かかるとのこと。 神経をやられると時間がかかるらしい。
病院で電気治療をしているので、家庭用の低周波治療器もいいのではないかと理学療法士さんに尋ねてみると、家でもやった方が良いと勧められたのでさっそく購入した。病院の電気治療と同じ感覚でいい感じだ。
とにかく、藁(わら)にもすがる思い。はやく神経麻痺が良くなり三角筋が反応してくれることをひたすら願うのみ。
<事故から5週間>
やっと手を振って歩けるようになった。これで外見は健常者!
腕は水平まで上げられるようになった。日に日に少しずつ可動域は広がっている。でも三角筋は相変わらず神経麻痺のせいで力が入らずフニャフニャだ。他の筋肉がサポートしてくれているのだろう。
三角筋が反応してくれれば取りあえず安心できるのに…、気が重い。
こんな中、新艇が届いた。早く乗りたいなあ。新艇で気分一新の再スタート!4月くらいかなあ?
<事故から6週間(1.5ヶ月)>
肩関節の痛みも取れたので、本格的なリハビリに入った。
これまでの痛みを取るための電気治療器とは別の治療器を使うことになった。今度の装置は、神経に代わって筋肉の収縮を促すためのもので、ゆっくりとした山なりに電気強度が加わる。この山なりに合わせて、伸ばした腕を水平に引き上げては下ろすという運動を繰り返す。
ふつう、「腕を動かせ!」という頭の指令は神経によって筋肉に伝えられる。今、私は神経麻痺で頭の指令が筋肉に伝わらなくなっている。だから腕を水平に引き上げているのは、神経麻痺で動かなくなっている三角筋ではなく、別の筋肉によるものである。三角筋の収縮は電気信号で行われていて、頭の指令が直接三角筋に伝わっているわけではないけれど、頭と筋肉を繋げる神経にこの関係を認識させようという治療内容だ。
この治療運動は、すっかり衰えてしまった筋肉にはきついのか、筋肉痛と関節痛が出ている。無理せず、でも急いで直したい。これが脱臼だけだったなら、もう漕いでいるんだろうなあ。
<事故から7週間>
「三角筋に動きが出てきましたね。」
待ちに待った理学療法士さんの言葉だ。やっと山を越した!時間の経過とともに回復する見通しが立った。腕も斜め上まで上げられるようになり、耳に付くまであと45度。
でも、肩の筋肉がすっかり落ちてしまっている。筋肉は使わなくなると直ぐに衰えてしまうそうだ。元に戻るには筋肉を使わなかった期間の2倍の時間を要するとのこと。
神経麻痺も筋肉が付いてくるのに合わせて回復してくるらしい。
身体前方の筋肉の方が強く、回復が早いので、まだ後方への腕の動きが今一つで、前と後ろでアンバランス状態。
筋肉運動トレーニングを始めてから日に日に筋肉が付いていくのが感じ取れる。
<事故から8週間(2ヶ月)>
今週は、出張やら風邪やらで十分なリハビリができず、回復に進展なしといったところ。
利き腕側は、特に気にしなくても普段の生活でよく使うので、知らず知らずのうちにそれがリハビリとなる。でも利き腕でない側は、努めて使うように心がけないといけないと理学療法士さんに言われていた。が、なかなかできないものである。
<事故から9週間>
一応良くはなってきていて、三角筋に筋肉も付いてきているが、まだ神経が麻痺していて、三角筋への力の入り具合が2,3割程度。医師にもまあ焦らないことですね、と念を押された。
<事故から10週間(2.5ヶ月)>
病院での治療もやっと終った。 とはいっても自宅でのリハビリはまだまだ必要だ。神経麻痺が残っているせいで三角筋にグッと力を込めてもまだ筋肉がフニャフ ニャ。肩関節の後方への動きも硬直してしまっている。筋力トレーニングとストレッチ運動が必要。
ある程度回復したので、気を付けながら実運動していった方が良いということなので、流れが穏やかな川から復帰していくつもりだ。
トレーニング器具は、いつも身近に置いておけるパワーバンド(ゴムチューブ)がいい感じ。
<事故から3ヶ月、川へ復帰>
耳に付くくらい腕を上げられるようになり可動範囲もかなり広くなったが、まだ神経麻痺が残っていて腕の皮膚の感覚がちょっと鈍い。通常のパドリングなら支障はなく、そこそこの瀬を下ることもできる。
でも、まだ持久力がないのか、瀬遊びを続けているとロールが上がりにくくなり(まだロールテクニックが未熟なせいでもあるけれど)、最後には沈脱してしまった。
瀬遊びで大きな力を出したせいか、腕の筋力が一気に復活したように感じた。ちょっと無理するくらいの運動がいいようだ。
日頃の筋力トレーニングにより肩周りの筋肉も結構付いてきたが、正常な右肩と比べると、ケガした肩の方は筋肉がごっそり落ちてしまっている部分がある。元通りになるのはまだまだ時間が掛りそうだ。
<事故から8ヶ月>
事故から約3ヶ月で川に復帰、その後急速に回復したが、それからが鈍い。現在90〜95%くらいといったところで、まだ完治できていない。
後方への腕の振り回しに抵抗感が残っている。脱臼したときと同様な力を受けると再び容易に脱臼するだろう。
といっても、通常のパドリングにはほとんど影響はない。
肩に鈍い不快感が残るので、未だに脱臼した側の肩を下にして寝られない。
完治に1年はかかると医師に言われたが、まさにそのとおりのようだ。もしかしたら、完治しないのかも!?
<事故から5年>
久しぶりにこのページを見て、締めくくらないといけないと感じた。
5年たった今の状況は、今後も変わらないだろう。
結局は完治しなかった。腕を大きく回すと、変な違和感がある。
しかし、日常生活に全く支障はなく、カヌー運動にも何の影響はない。
でも、脱臼を誘発するような無理な力がかかったとき、脱臼の経験のない肩に比べると、簡単に脱臼をしてしまうだろう。そんな頼りなさを肩に感じる。
無理な力が肩にかかりそうになったら、素早く逃げる。そんな経験を生かした対応が必要だと思う。
終わり